歴史を学ぶってきっと楽しくてタメになるんだろうな。
でも何だか歴史に関するものって…
①文字多いし
②初見殺しだし
③何より渋すぎない?
そう思ってしまうこと、多いんじゃないかと思います。
歴史好きな筆者でさえ、今まで何度もそう思ったことがありました。
そこで歴史との出会いだけでもポップに楽しくできないものかな~と思い、実際に自分がやってきた歴史の楽しみ方について書いていきたいと思います。
あくまでライトに楽しく生活の彩りの一つとして歴史にふれてみたい!と思う方の参考になれば嬉しいです。
- 記事中のイラストには Saydung89さん(Pixabayより)の画像を使用しています。
- 筆者は趣味で歴史を学んでいます
歴史を楽しむ3つのポリシー
①歴史を歴史と思わない
最初から暴言で失礼します…。
なぜこんなことを言うかというと、
歴史は実際に起こったことですが、今を生きている人のほとんどは実際に体験していないことばかりで構成されています。
逆を言えば、私たちから見たらそこには想像できる余地が多く残っているんです。
実際に私は歴史を「物語」と捉えることから始まり、ストーリーの起承転結、登場人物の喜怒哀楽に魅せられ、だんだんと感情が「史実」に近づいていきました。
②自分が好きになったところから
歴史上の出来事や人物から歴史に入ることもありません。
自分の好きなもの、そこからでいいのです。
野球、ジュエリー、アニメ、お菓子、コンサート、旅、睡眠……そのすべてに歴史があり、そこには懸命に生きてきた人たちが関わってる。
例えばチョコレートの歴史にふれたとき、そこには<大航海時代>や<黒人差別問題>などの 「THE・歴史」な言葉もごく自然に登場します。
実はここが大切なポイントで、人間関係や夢の実現と同じように、この自然な出会い方って歴史を学ぶうえでもとても大切。
チョコレートを起点にどれだけ多くのことが自分につながっているかを実感できる。それこそが歴史を学ぶ意味であり、醍醐味なのだと私は思います。
③どんどん妄想していく
賛否両論ある考え方だと思いますが、史実というのはかなり限定されますから(基本的に一次資料がないと事実とは言えないし…)
これは歴史好きに与えられた特権だとも言えます。
もしかしたら○○と××はどこかですれ違っているかもしれない…(同時代を生きていたと知ったとき)
もしかしたらこの道を歩いたかもしれない…(史跡旅行でふと散策したとき)
こんな感じで、正解がないからこそ大いに想像を楽しむことができる。
後に確固たる資料が出てきたときはおとなしくそれを受け入れるとして、それまでは自分のなかで歴史と対話できてしまう。
要するに妄想。妄想でいいのです。
ただ史実はこれ以上に大切なので、その向き合い方や想像や考察とのバランスについてはまたの機会に書いていきたいです。
漫画だけでも学べる!
歴史に関連した漫画はたくさんあります。
「キングダム」「ドリフターズ」「ヴィンランド・サガ」などは社会的にも大きな注目を浴びて人気となりました。
今回こちらでご紹介する漫画は、部屋に置いても堅苦しくなく、平置きにしていても威圧感のなさそうなものをチョイスしています。
もちろん中身はおもしろく、しっかり「歴史」も楽しめるので、ゆるーく歴史にふれたいときにオススメです。
国を擬人化した漫画。
日本は超真面目でちょっと天然(ガラパゴス性質)、イタリアは陽気、ドイツはお堅い真面目…など、
かなりステレオタイプな特徴をもったキャラクターたちが登場します。でもそこがおもしろいポイント。
意思をもった国が主役なので各国の歴史に没入しやすく、範囲が広すぎておぼろげだった世界史の全体像もつかめてきます。
◆『うた恋い。』…こう見えてけっこうライトなギャグ漫画
百人一首の作家たちを登場人物にすえて、それぞれの恋模様などが描かれます。
この時代の恋愛事情や言葉の難しさをすんなりと受け入れられるぐらい、解説は丁寧に、キャラクターの動きは大胆に攻めています。
それぞれの個性がたっているので、いまいち名前が覚えられず試験では地味に響くその2点をあきらめていた歌人の名前も(笑)自然と覚えられると思います。
◆『るろうに剣心』…実は流行とは無縁のマニア向けな名作
説明不要の人気少年漫画。
けれどこちら、歴史的にはかなりマニアックなテーマを題材にした作品です。
本来この時代の歴史的なハイライトは幕末なわけで、その後の明治初期を描いた作品というのは(しかもジャンプで!)かなり異例。
歴史の勝者が何を生み何を葬ってきたのかというヘビーな問いにも取り組んでいて、何度読んでも考えさせられます。
魅力的なキャラクターたちをつうじて、時に歴史を紡いでいく虚しさ、それでも前進していく人々の逞しさが感じられます。
◆『エマ』…後半に逆作画崩壊が起こる美しすぎる正統派メイド漫画
ヴィクトリア朝時代のイギリスを舞台にした、階級制度について描かれた漫画。
恋愛ストーリーもありますが、特筆したいのはこの時代の空気感を繊細に表現した美しい作画の数々。
後半は森の様子や小物一つに至るまで、この時代の香りが漂ってくるような緻密な書き込みが楽しめます。
ストーリーも波乱万丈というより自然体で進んでいくので、 格式を重んじる当時の静謐さも感じられて雰囲気たっぷりです。
◆『プリーズ、ジーヴス』…天才執事に遊ばれる上流階級な(金づる)ご主人
同じイギリスを舞台にしていても『エマ』とは異なる雰囲気を楽しめるコメディ漫画。
原作は稀代の英国喜劇作家 P・G・ウッドハウスで実はかなり本格的な作品なのですが、
勝田文さんのゆるくてかわいい作画が絶妙にマッチしていて、イギリス文化が好きな方にはオススメの漫画です。
こちらの主従関係は完全に執事がハンドルを握っており、何かにつけておバカで優しいご主人様がドタバタさせられる展開に癒されます。
文字が多くない本で学べる!
本も読みたいけどじっくり読む時間なんてない!という方には、イラストや写真中心の書籍もおすすめです。
好きなものを気軽に読んでいきたいですよね。
◆『歴メシ!』… 腹が減っては歴史も学べぬ
古代メソポタミアから始まりビスマルクまでの料理を忠実に再現したレシピ本。
バビロニアの料理とか…食材は手に入らないものもあるけれど、ページをめくっているだけでおもしろいです。
中身もきちんと書かれていて、食文化の歴史についても興味を魅かれます。
◆『江戸かわいい動物』…やっぱりかわいい精神はいつの時代も最強
それで大丈夫!
まるっところっとした動物の描写に癒されまくりの一冊です。当時の画家たちもメロメロになりながら筆をとったよね、たぶん。
◆『戦国の合戦と武将の絵辞典』… イラスト中心膨大な知識もつく
かわいいイラスト満載の本ですが、ビシバシ戦国について学べます。
個人的に戦国について概要を学ぶならこれだけで足りる気がするぐらい、信頼のおける一冊。
絵事典関係の書籍は気軽に読めて、知りたいことをピンポイントで分かるので重宝します。
映像作品で楽しみながら学べる!
歴史映像作品、というか歴史映画は世の中にものすごい数があふれています。
そしてどれもおもしろいです。
ただ、今回は「歴史/映像/アニメ/映画」と検索して、あまりヒットしなかった映像作品3点をご紹介します。
気負わない歴史…というスタイルの提案もあるので、歴史的名作映画やしっかり作りこまれた映画作品についてはまたの機会に。
◆『ジョーカー・ゲーム』…混乱の時代、怪物スパイ集団の手口に酔いしれる
第二次世界大戦中の世界を舞台にしたスパイミステリー作品。
原作はこの時代を舞台にしたストーリーに定評のある柳広司さん。原作もめちゃくちゃおもしろいです。
時代が時代なのでシリアスな展開となりますが、D機関のスパイたちによる驚愕のトリックや欺き合戦に目を奪われます。
声優やスタッフ陣も超・超・超・豪華。
“スパイは決して人を殺さず、生きて帰らなければならない”
この言葉の中に戦争に対する一つのアンサーが含まれており、国のために命を捨てるのが当然とされていた時代における
スパイの存在意義や目的達成の真意にも、エンタメで迫れるギリギリのところまでしっかりと描いています。
はっきり言って、このテーマをアニメにできたこと自体が驚き。
混沌とした時代の「日本と世界の歴史」を知るうえでも是非見て頂きたい傑作です。
◆『Peeping Life World History』…学びよりも偉人たちに共感しちゃう
「みんなが違うって言っても研究してたらそうなっちゃう♪」 は天才の会話
Peeping Life という、ゆる系おふざけアニメの歴史編。
見る人を選ぶかもしれないけど、一度ハマった人はずっとツボれると思います。
上の動画のように、実際の史実よりも「あるあるな妄想」に全振りした会話が淡々と展開されます。
妄想を糧にする歴史好きにはたまらない設定てんこ盛りで「絶対こんな会話してるわ~」というマニアなツボを狙い撃ち。
学びより過去を生きた人たちに死ぬほど共感ができる作品です。でも歴史も共感性はめちゃくちゃ大切ですから…ね。
こんなんで月面着陸の歴史スタートしちゃって輝かしい人類の希望もかすれます…
黄巾族でいっぱいなのに穏やかな背景なんでよ。この二人が呂布と互角なんて私は信じない(笑)
◆歴史秘話ヒストリア…王道にして新しさを追求し続けた良心の歴史番組
NHKで2021年3月までに放送されていた歴史情報番組。
Kalafina カラフィナ が歌う印象的なテーマ曲も話題となりました。
これまでNHKは多くの歴史プログラムを組んできましたが、そのほとんどが王道的内容にとどまっていました。
扱うテーマは戦国か幕末か世界大戦。スポットライトはそのなかの名だたる武将や悲劇の主人公。
もちろんそれらの歴史を学ぶことはとても大切ですし、確かに歴史を学ぶうえで必要不可欠な時代でもあります。
けれどそれらの歴史はその瞬間だけポっと現象としてあらわれたのではなく、すべてつながりをもって生まれています。
私はもっと、マクロでひと続きの歴史にもふれたかった。
そう思っていたときにスタートしたのがこの番組でした。
この番組をオススメする理由は、NHKという王道を貫く制作元でありながら限界まで
- 敗者の視点にも丁寧にスポットを当てた
- 市井の人々(が動いた証である当時の社会現象)もテーマにした
- 新しい研究結果や奇抜な考察も貪欲に追い続けた
という、常に新しい歴史の視点を提案し続けたことにあります。
とくに2016年以降第二シーズンに入ってからはその傾向が強くなり、
上野動物園、防災、万博、明治期の標準語、世界的名著『80日間世界一周旅行』など、斬新でありながら「かゆいところに手が届く」テーマを豊富に扱ってくれました。
とくに秀逸だったのは毎回の番組の閉じ方です。
カラフィナの曲をバックに歴代アナウンサー(渡邊あゆみ/井上あさひ/渡邊佐和子)の口上が始まると、
どんなテーマの回であっても、その時代を生きた人たちからのメッセージが番組越しに流れてくるようでした。
抽象的な歌詞ですが、歴史をつないでいく美しさについて表現された素晴らしい曲ばかりだった
テーマ曲のほとんどは「水」がキーワードとなっています。
すべての歴史の流れを一本の「大河」とし、一回の放送テーマをその「一滴 ひとしずく」と表現しています。
現代を生きる私たちまで流れ、未来にも流れていくだろう「水」を歴史の流れになぞらえた表現に、
過去を生ききったた人たちに恥じない、そしてきっと認められる番組を作る、という制作側の熱い気持ちを感じたものでした。
残念ながら番組は終了してしまいましたが、オンデマンドにて全エピソードが見られるようです。
歴史は学ぶ対象だけではなく、人間や世界を理解し共感するために必要な一つのツールでもあるということが感じられる、おすすめの番組です。
おわりに
歴史は「誰か」の日記の集合体。
いつからか、私はそんな風に思うようになりました。
だからこそ一つの時代に様々な視点、たくさんの正義(または狂気)、そしていくつもの真実という、複雑でカオスな矛盾も歴史には存在します。
では、過去に起きたことの何が正しくて、何が間違いだったのか?
それを突き詰めて評価すること。
ひょっとしたらそこに歴史を学ぶ意味はないのかもしれません。
歴史は事実を追って何かを裁くためのものではなく、これからの私たちが未来を共有するための貴重な一つの証言だと私は思います。
どんな理由でも、どんなきっかけでもいい。
その言葉に耳を傾け、理解しようと歩み寄る。
そうすることで過去を生きた人たちの思いが色をまとってあらわれ、私たちと同じ、ひと続きの時間を実際に生きていたんだということを実感できる気します。
静かに開かれている「誰かの日記」。
読むことを許されている今、そっと覗いてみませんか。
Thank You For Reading.